生協などで不在時に食品などを新鮮な状態で仮保管できる便利な通い箱(発砲スチロールの箱)ですが、回収してもらうまでの置き場所に困ります。
外に置く場合には、風で飛ばされて箱自体の紛失の他、近所の家や車にぶつかる危険性があります。
私も同じ悩みを抱えており、通い箱が飛ばないために必要な重りの量を検証してみました。
保冷箱2段積が飛ばないために必要な重量
個人的にシチュエーションが多い、保冷箱2段積が飛ばないための検討をしてみましょう。
下図のような箱において、1面から風による力を受けるとき、箱が転倒しないために必要なおもりの重さを簡単な計算(高校物理程度)により導きます。
(詳細な計算理論などはこちらのサイトがわかりやすいかも→【高校物理】剛体の力学:剛体が倒れる条件 | 受験の月 (examist.jp)
簡略化のため箱の重さは考えず、風の力を全て重りの量で耐えるものとします。
少し複雑になるかもしれませんが、高さHの半分(H/2)の位置に受ける風の力Fと、重りによる重量が中心位置(D/2)に掛かった時における、点O周りのモーメントのつり合いを計算します。
このとき、W,H,Dは生協の保冷箱の寸法を参照し以下とします。
商品が入ってくる箱のサイズは? | よくあるご質問 | コープ自然派 (dga.jp)
D:0.355[m]
H:0.26×2箱=0.52[m]
風による力Fは、以下式で求めます。
それぞれの記号の意味は以下の通り
S:風を受ける面の面積=W×H=0.28×0.52≒0.146[m^2]
Cd:抵抗係数=2 (実際には平面形状によって変わりますが安全側に見ています
63章:円柱とその他形状の抗力係数 (oo7.jp)
ρ:空気密度=1.293[kg/m^3]
v:風の速さ=30[m/s] (台風相当を想定)
これらを代入して風による力を計算すると、約170[N]であることがわかりました。
それでは、前記図2における点O周りの風の力と重りの重量によるモーメントのつり合いから、箱が転倒しないために必要な重りの重量を求めていきます。
点O周りのモーメントのつり合いより
式を整理し
この時、各記号は
D:0.355[m]
g:重力加速度=9.81[kg/s^2]
H:0.26×2箱=0.52[m]
F:170[N]
これらを代入し
以上より、2段積みの生協の箱が風速30[m/s]の風を短辺方向側の面で受けるとき、25.4[kg]の重さを乗せておけば理論上は倒れないことになります。
ただし、この計算は一方向から風が当たる単純な想定しかしていません。
実際にはより複雑な方向から風が当たりますし、風速も30[m/s]以上になることもあるかもしれません。また箱を通過した風や、その周りの構造物から受ける影響を検討する必要があり、正確な検証にはCFD(流体解析趣味レーション)などを用いることが必要です。
CFD(数値流体力学)入門 | BIMナビ | CAD Japan.com
なので、実際には安全率1.2くらいを加味して30kgくらいの重量にした方が良いかもしれません
「30kgの重りを乗せたのに飛んでったよ!!」と言われても責任は取れませんので、全て自己責任でお願いします。
飛ばないための具体策
約25kgの重りって、具体的にどれくらいの価格感や大きさなのかを検証していきましょう。
ぱっと思い浮かぶものとして鉄の重り。
安価で入手性が良い炭素鋼(SS400)の場合、370円/kgのH鋼を想定し、370[円/kg]×25[kg]=12,500円概算で掛かります。
鉄 H形鋼材(SS400)黒皮材 各品サイズ 切り売り 小口販売加工 | 横山テクノ 制作事例 (yokoyama-techno.net)
ただの重りなのに1万円も出すのは嫌ですね・・・
次に水を入れる重り。
これであれば、トータル3000円前後で入手可能ですし、キャンプなどのアウトドアでも活躍できそうです。
まとめ
以上が、生協などの通い箱を2段積みにして風速30[m/s]の風が当たっても倒れないために必要な重量の検証についてでした。
短辺方向側の1面だけに風が当たった場合の簡単なシュミレーションでは約25kgの重りが必要との計算結果となりました。
また、その重りとしては水を入れるタイプなどがオススメです。
ただ、実際には様々な計算要素が加わりますので、「ふ~~んそうなんだ~~」くらいの参考程度にして頂ければ幸いです。
計算間違いやご指摘あればコメントください!
それでは!
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